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明日は味方

明日は味方

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秋田のクレーマー

2023-01-12
 2年前から年賀状を書くことを辞めたが、今年は一通だけ手紙を書いた。宛先は、浅香工業株式会社の岡田 実社長だ。

 異変に気がついたのは11月下旬だ。どこのホームセンターに行っても売っていない。探していたのは、愛用の金象印のスノーダンプであった。

 誰しもが、絶対にこれじゃないといけない、という愛用の品がある。自分にとってその一つが、青取っ手の金象印のアルミスノーダンプである。この村の雪の量は3メートル降るんだから半端じゃあない。その雪に小学校1年から30年以上立ち向かってきた、この金象印のスノーダンプと一緒にだ。とても頑丈なスノーダンプで、売っているモノの中で一番でかい。しかし、いかに金象印といえど、豪雪との戦いで毎年買い換えなければならないほど3月にはボロボロになる。であるから、今年も、新しい相棒を求めてホームセンターを探しまくったが、秋田県南のどこにも売っていなかった。しかたなく、岩手の方まで探しに行ったが、やはり在庫はないという。ネットを見てみたら、なんと値段が8万円~15万円もしている!!買えるわけない!!この金象印のスノーダンプこそ、浅香工業株式会社の商品、なのである。これは一体どういうことか。あのスノーダンプなしに、どうやってこの冬を乗り切って行ったらいいのか、焦りと不安、でもなんとかしなければ!その一心で手紙を書き上げてしまった。金象印の大ファンであること、あのスノーダンプをどうか見つけ出してて送ってほしいこと、あるいは30万円まで出すから特注で作って欲しいこと。そして、実際にこのスノーダンプで屋根の雪下ろしをしている動画のQRコードも添えた。。。
 
 そして今日、浅香工業株式会社、商品部の小原さんから電話をもらった。最初は、聞き慣れない大阪弁で、えらい遠くから営業電話をかけてきはったなぁ、と思った。思ったが、浅香工業と言う名前を聞いてピンときた。その社名を聞くなり、手紙の事を思い出し、驚いたのと嬉しかったのとで、よく分からなくなり、『おおおお!』と電話口で叫んでしまった。小原さんは、丁寧に事情を説明してくれた。3年くらい前に廃番になってしまったこと、去年と一昨年の大雪で売れてしまったこと、もし見つかったら、知らせてくれること。。。

とにかく、今持っている金象印を大事にします、とだけ伝え、電話を切った。やはり金象印は顧客を大事にしている!そう思いたい。

『なんや、わけわからん、秋田のクレーマーがおってなぁ。。。』
電話の向こう側で小原さんは同僚と話しているのに違いない。

床屋の話術

2023-01-11
 人は鏡に映った自分を見ると『もっと良くなりたい』『もっと綺麗に、もっとかっこよくなりたい』と思う動物なのだそうだ。だから、人知れず鏡を見たときは、キメ顔をしてみたり、髪型を変えて見たり、綺麗に見える角度を探したり、お肌のパトロールも自然と行ってしまう。

 今日は、施設にひとり床屋が来て、なんと10人以上を立て続けにカットするのを見た。会話がほとんどなかったのが印象的で、ただ髪を切るチョキチョキという歯切れ良いハサミ音だけがずっと続いた。
『今日はどうしますか?』、『できました、どうですか』という定番のやりとりもあまなかったし、客の方も終始無言だった。鏡の前に座らされ、エプロンを首から掛けられると、急に舞台に上がってしまったような照れくささでみんな黙ってしまったのか。

 床屋に必要なのはハサミの技術ともう一つ話術だ。
巷の床屋や美容院に行ってみれば分かるのだが、半分以上の客はとにかく喋る。余計な事まで喋る。床屋は否定せずに話を聞いてくれるし、時には頼んでもいないような情報をくれたりもする。床屋の情報量はCIA並みなのだ。床屋の料金には、カット料金とカウンセリング料金・情報料金も含まれていると見て良い。そして最終的には、たとえ出来上がった髪型に満足していなくとも、客はあの話術によって首を縦に振らされる。

 今日カットした客は、『ありがとう』とお礼を言った後、足早にそれぞれの部屋に戻った。
戻って鏡を見直し、髪をセットし直し、いろんな角度から見て、それぞれのキメ顔を作ったに違いない。

 

鰰の向こう側

2023-01-10
 会社に戻ると焼かれた麹漬けのハタハタ二匹、ノリで巻いたドデカい握り飯と煮物が用意されていた。
それを見て、今日の会社の様子と喜んで帰った客の顔が浮かんだ。

 このハタハタは近所の魚屋・丸五商店の亨兄様が先月売ってくれたものだ。秋田名物ハタハタは捕れ高が激減し、1匹500円以上するようになってしまった。
しかし、秋田人はなぜかハタハタを食べないと年が越せないという遺伝子がある。味やサイズはもうこうなったら、どうでもいい。ハタハタ食べた!っていう「しるし」が欲しいのだ。
そんな中、先月亨兄様は一匹150円で200匹売ってくれた。それを大きな樽に漬け込んでいたのだ。

「みんなハタハタを食べられて本当に喜んでました、完全に赤字だったすべ」、と大声で笑いながら電話で話したら、

「カズ、その言葉が聞けだだけでも、やっていがった」、とだけ言ってのけた。

ずっと元気でいて魚屋をやっていてほしい、心からそう思った。

かくして、ハタハタは本日の昼食として客に提供された。
方々を駆け回って200匹用意し、さらにこれを赤字で売る魚屋のことを、果たしてだれが想像できたろうか。
車のライトに照らされた雪の道を、白と黒の子猫が真っ直ぐに駆けていった。

お手玉回しで

2023-01-09
 ヒラキの郷でお手玉回しをしてきた。
総勢30名?たくさんのスタッフが参加してくれた。

最初は5人のグループで。次は10人で。その次は15人。最後には総勢30人。
ルールは簡単で、右から左へお手玉を渡しながら、受け取る。
その時、笑顔で全員で1から30まで数える。30がゴール。
途中落としたり、失敗したらすぐに「すみませんでした」と謝る。
謝った人を全員で「大丈夫だよ」と許し合う。

ただこれだけなのだが、すぐには、うまくいかない。
少人数から大人数になっていくたびにそれぞれの呼吸が合わなくなる。

自分なりにお手玉回しから学ぶことがいくつかあるので下記にまとめてみよう。
①楽しい雰囲気。
コロナと同じように雰囲気は伝染する。陰気くさい雰囲気のところにみんないたいと思うだろうか。
楽しそうなことやってるな~、ちょっと見てみるか。そういうことだ。

②失敗しても大丈夫。
失敗は誰にでも毎日ある。それは仕様がないこと。失敗したら、理屈をこねるのではなく、サラッと謝ってみんなの理解を得る。
周りは失敗は日常茶飯事だと理解して、それをいちいち咎めない。それよりも、何が失敗の原因だったのかを考えて、みんなに発信すること。改善案を色々試すこと。


③お手玉は仕事である。仕事を全員でまわしているのだ。
次から次へとやってくるお手玉。発声しながら渡し、受け取る。みんなの事を考えて発声される声は、どんなトーンなのか。相手を思いやる、楽しくさせる声になっているか。
スピードが速くなりすぎていたら、スローを指示するような発声もある。渡すときの力の強さは?受け取るための差し伸べた手の位置と手の開き具合は相手の渡しやすい状況を作れているだろうか。
他人の事を考えた発声と段取りが必要だ。

④皆で目標を一つにする。
大昔、「仕事の早い遅いは我慢ができるけど、向いてる方向が違うのは我慢できない」と言われて会社を辞められたことがある。
みんなの目標を一つにして、失敗を重ねながら成功するまでやり続ける事が大切なのだ。

⑤人数が多ければ多いほど達成したときの喜びも大きい。
5人で成功したときよりも、最後に30人で目標を達成したときの方が湧き上がる喜びが遙かに大きい。
ひとりで何でもやってしまう人はすごい。すごいけれど、たまにはこのことを覚えておいて欲しい。
あなたの仕事を誰かと共有し、成し遂げることを。そして、その達成した喜びを、他人と一緒に共有することでしか強い組織は生まれない。

ざっと上げても5つはある!
お手玉回し最高!!!

オレより若いヤツ(スタッフ)へ:
もっともっと尖っていい。失敗してもいい!結果を恐れずにできることを増やして、伸び続けて行ってほしい。そして、いつの日かみんなの納得いくような結果をつかみ取ってほしい。

オレより年上の方(スタッフ)へ:
人生100年時代。65歳で終わりだなんて、言わないでほしい。今、できることをできる範囲で手伝ってください。そして、後輩の行く末をそっと後ろから支えてほしい。

秋田の中高年男性たちよ

2023-01-06
 こんな年は滅多にない。
なにが、というと雪が降らないのだ。毎年年末年始はこれでもかというくらい雪が止まず、つもり続ける。
しかし、、、雪が降らない。降っても続かない。
雪で飯を食っている人もいるだろう。雪が降ることによって仕事をさせてもらっている人には困った問題だ。
それとは別に、雪で飯を食っていなくとも、雪かきで何とか一家の大黒柱の威厳を保ってきた秋田の中高年男性の存在意義も問われている。
冬は雪かきをすることによってのみ、家族に大事にされ、夕飯のおいしい食卓を何とか保証されてきたからだ。。。
正月も明け、本当に普通の日常が戻ってきたとき、その時に、それぞれ秋田の中高年男性たちの真価が問われている。
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